妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「お願いだよぅ。お姉さんを助けてあげてよぅ」

 ばさばさと羽ばたく烏丸も、多少怪我をしているようだ。
 飛び方が、若干ふらふらしている。

 そはや丸は、苦しがる娘に近づいた。
 その上の呉羽の表情も歪んで、脂汗を流しながら、必死で妖を吸い出している。

 不意に、呉羽の身体が傾いだ。
 ぐらり、と娘の上から落ちそうになる。

---限界だな---

 そはや丸は呉羽の身体を後ろから支え、同時に下の娘に向けて、一気に力を放出しようとした。

 その瞬間、器ごと滅せられることを察した猫又が、娘から飛び出した。
 すでに呉羽は引っ張る力を失っていたが、周りは結界に囲まれている。
 逃げ場はなく、猫又は呉羽に取り憑こうとした。

「おおおおお姉さんっ!!」

 烏丸の泣き声が響く。
 が、猫又が呉羽に入り込む直前、そはや丸が、にやりと笑った。
 物凄い光が放出され、そはや丸の姿も、彼に抱かれている呉羽の姿も見えなくなる。

 あまりの光に、烏丸は羽で顔を覆って蹲った。
 光だけでない、圧倒的な圧力のようなものが感じられ、烏丸はさらに床に、べちゃっとへばりついた。
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