妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「・・・・・・ふん」
ようやく光が収まり、そろそろと烏丸が顔を上げると、そはや丸がこちらを見て、馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
きょろきょろと辺りを見回してみても、猫又の姿はない。
姿がない、ということに、不安そうになおもきょろきょろする烏丸に、そはや丸は、ついと顎で己の前方を示した。
部屋の隅に、猫のものらしき髑髏が転がっている。
ひ、と息を呑み、烏丸は思わずそはや丸に飛びついた。
そして、は、と気づく。
結界が解かれている。
「呉羽が完全に気を失ったからな」
そはや丸が言い、呉羽を抱いたまま立ち上がる。
「お姉さん・・・・・・」
烏丸が、心配そうに覗き込む。
そはや丸の腕の中の呉羽は、蒼白で死人のようだ。
「妖気が残ってるな。呉羽に入る前に滅したつもりだが、俺が入れた分と・・・・・・ちょっとは猫又の分が入ったのか」
「妖気が入ったら、ヒトは壊れちゃうの?」
でもほたるさんは元気だったな、と思いながら、烏丸は言う。
何の力もないほたるが大丈夫なのだったら、術者である呉羽などは、屁でもないのではないか。
そはや丸は、呉羽の懐に手を突っ込んだ。
「別に妖気を入れたところで、壊れはしないさ。ただ、ずっと身の内に妖気を持っておくと、じわじわ蝕まれるかもしれんが。だから、前の女官には浄化の札を押しつけてきたし」
説明しながら、呉羽の懐を探っていたそはや丸は、やがて一枚の札を取り出した。
ようやく光が収まり、そろそろと烏丸が顔を上げると、そはや丸がこちらを見て、馬鹿にしたように鼻を鳴らした。
きょろきょろと辺りを見回してみても、猫又の姿はない。
姿がない、ということに、不安そうになおもきょろきょろする烏丸に、そはや丸は、ついと顎で己の前方を示した。
部屋の隅に、猫のものらしき髑髏が転がっている。
ひ、と息を呑み、烏丸は思わずそはや丸に飛びついた。
そして、は、と気づく。
結界が解かれている。
「呉羽が完全に気を失ったからな」
そはや丸が言い、呉羽を抱いたまま立ち上がる。
「お姉さん・・・・・・」
烏丸が、心配そうに覗き込む。
そはや丸の腕の中の呉羽は、蒼白で死人のようだ。
「妖気が残ってるな。呉羽に入る前に滅したつもりだが、俺が入れた分と・・・・・・ちょっとは猫又の分が入ったのか」
「妖気が入ったら、ヒトは壊れちゃうの?」
でもほたるさんは元気だったな、と思いながら、烏丸は言う。
何の力もないほたるが大丈夫なのだったら、術者である呉羽などは、屁でもないのではないか。
そはや丸は、呉羽の懐に手を突っ込んだ。
「別に妖気を入れたところで、壊れはしないさ。ただ、ずっと身の内に妖気を持っておくと、じわじわ蝕まれるかもしれんが。だから、前の女官には浄化の札を押しつけてきたし」
説明しながら、呉羽の懐を探っていたそはや丸は、やがて一枚の札を取り出した。