妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「・・・・・・」
呉羽は刀のそはや丸を支えに、依然倒れたままのとよに近づいた。
じっと様子を窺い、頬を叩いてみる。
「とよさん、聞こえる?」
耳元に口を寄せて呼んでみるが、反応はない。
そはや丸に足蹴にされても起きなかったのだ。
そんな生易しい方法では起きないだろう。
烏丸が、ばさばさ、と羽をはためかせて、娘の耳元で、ぎゃあっ! と鳴いた。
途端に、びくんと、とよが痙攣する。
「とよさんっ!」
もう一度呼んでみると、とよはゆっくりと目を開けた。
そして、呉羽を見るなり、ぱちりと大きく目を見開く。
「あ、あら? 私・・・・・・」
きょろきょろと、周りを見渡す。
「落ち着いて。えっと、あなたは自分がここ最近どういう状況だったか、わかっていますか?」
娘と話し出して気づいたが、すっかり夜も更けたのに周りが見える。
大暴れしたため、元々掘っ立て小屋だった離れは、ところどころ穴が空いている。
結界の勢いに空いたのであろう屋根の穴から、月明かりが入ってきているのだ。
この程度の明かりなら、とよには呉羽の大怪我も見えまい。
余計なことに気を回さず、とっとと話を聞きたい呉羽は、そはや丸に縋りながら、早口で娘に問うた。
呉羽は刀のそはや丸を支えに、依然倒れたままのとよに近づいた。
じっと様子を窺い、頬を叩いてみる。
「とよさん、聞こえる?」
耳元に口を寄せて呼んでみるが、反応はない。
そはや丸に足蹴にされても起きなかったのだ。
そんな生易しい方法では起きないだろう。
烏丸が、ばさばさ、と羽をはためかせて、娘の耳元で、ぎゃあっ! と鳴いた。
途端に、びくんと、とよが痙攣する。
「とよさんっ!」
もう一度呼んでみると、とよはゆっくりと目を開けた。
そして、呉羽を見るなり、ぱちりと大きく目を見開く。
「あ、あら? 私・・・・・・」
きょろきょろと、周りを見渡す。
「落ち着いて。えっと、あなたは自分がここ最近どういう状況だったか、わかっていますか?」
娘と話し出して気づいたが、すっかり夜も更けたのに周りが見える。
大暴れしたため、元々掘っ立て小屋だった離れは、ところどころ穴が空いている。
結界の勢いに空いたのであろう屋根の穴から、月明かりが入ってきているのだ。
この程度の明かりなら、とよには呉羽の大怪我も見えまい。
余計なことに気を回さず、とっとと話を聞きたい呉羽は、そはや丸に縋りながら、早口で娘に問うた。