妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
第一章
 外はすっかり雪景色だ。
 辺りに転がる骨も屍も、白一面に塗りつぶされている。
 こんなところに足を踏み入れる者などいないため、乱れたところなく一面銀世界だ。

 お陰で烏丸が漁った死体も、すぐにわかった。
 そこだけ雪が乱れていたからだ。

「・・・・・・ふ~む。良家の家人てところかな」

 死体を品定めし、次いで辺りに積もっている雪を払っていった。
 着ている着物はそれなりに良い物のようだが、如何せん古い。
 それに男物だ。
 そはや丸が着るには小さいので、役には立たない。

「大したモンはねぇなぁ。烏丸の奴、頑張ったな」

 身を起こし、足でその辺の雪を蹴って、死体にかける。
 随分ぞんざいな扱いだが、そはや丸は元々妖だ。

 人型は取っているが、本来は刀なのだ。
 人並みの心などない。

 顔を上げたそはや丸の目が、少し向こうに立つ梅の木に吸い寄せられた。
 梅の花が、雪の積もった枝に蕾を付けている。

 そはや丸は梅の木に近づき、手を伸ばして細い一枝を折った。
 くん、と蕾に鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。
 ほのかな香りが、爽やかに感じられた。
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