妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
「もしかして、お前が自分で私から離れないうちに私が死んだら、お前まで道連れになってしまうのか?」
そういうことなら仕方ないかな、と思いつつ、でもだったら、私が瀕死の間に腕を斬れば良い話ではないか、と、また疑問が湧く。
しばらくそはや丸は、顔を背けたままだったが、つい、とその目が部屋の隅の飾り棚に向いた。
梅の花が、咲き初めている。
『殿方が、花の蕾を贈るのは、恋しい女人に決まっています』
ほたるの言葉が思い出される。
別にそはや丸は、そこまで考えて枝を折ったわけではない。
単に、呉羽にやろうと思っただけだ。
今まで花など贈ったことなどないし、呉羽がそのような風流を解する女人だとも思っていない。
なのに雪の中で梅の蕾を見つけたときに、不意に呉羽を思い浮かべたのだ。
ふと気づくと、呉羽も梅の枝を眺めていた。
「あの枝のこと、女官殿は何か言ってたね」
ぽつりと呟いた呉羽に、そはや丸は、そうだったかね、ととぼける。
「女官殿は、お前のことを好いているんだね」
「そんなこと言ってたな」
「普通のヒトは、接吻ってのは、好いた人とするんだって」
「・・・・・・そうだろうな。気のやり取りなんざ、ヒトにゃ必要ないからな」
そういうことなら仕方ないかな、と思いつつ、でもだったら、私が瀕死の間に腕を斬れば良い話ではないか、と、また疑問が湧く。
しばらくそはや丸は、顔を背けたままだったが、つい、とその目が部屋の隅の飾り棚に向いた。
梅の花が、咲き初めている。
『殿方が、花の蕾を贈るのは、恋しい女人に決まっています』
ほたるの言葉が思い出される。
別にそはや丸は、そこまで考えて枝を折ったわけではない。
単に、呉羽にやろうと思っただけだ。
今まで花など贈ったことなどないし、呉羽がそのような風流を解する女人だとも思っていない。
なのに雪の中で梅の蕾を見つけたときに、不意に呉羽を思い浮かべたのだ。
ふと気づくと、呉羽も梅の枝を眺めていた。
「あの枝のこと、女官殿は何か言ってたね」
ぽつりと呟いた呉羽に、そはや丸は、そうだったかね、ととぼける。
「女官殿は、お前のことを好いているんだね」
「そんなこと言ってたな」
「普通のヒトは、接吻ってのは、好いた人とするんだって」
「・・・・・・そうだろうな。気のやり取りなんざ、ヒトにゃ必要ないからな」