妖(あやかし)狩り・参~恋吹雪~
 気のないそはや丸の答えに、呉羽は納得したように、そっか、と呟いた。
 が、すぐに首を捻る。

「お前、そこまでわかってるから、女官殿に接吻しやすい状況を作ったんだな? 猫又をとよさんから引き出すときも、お前は頑として直接自分が引き出すのを拒否したな。女官殿みたいに好かれたら困るからだって言ってたな」

「強引にされたら、女子の中には、ころっと落ちる奴も多いからな。そういうこと以前に、何でこの俺様が、好きこのんで陰の気なんざ吸わんといかんのだ」

「でもそのわりに、お前は、私は平気みたいじゃないか」

 馬鹿にしたように鼻を鳴らしていたそはや丸の顔が、ぴく、と強張った。

「初めだって私に浄化させたし、猫又を引き出すときだって、私に入れたら引き出してやるって言ってたじゃないか」

「・・・・・・」

「まぁ私は浄化の力があるとか、そういう理由なんだろうけどな」

 しばしあらぬ方向を見たまま黙っていたそはや丸だが、やがて目は梅の枝を見つつ、口を開いた。

「・・・・・・お前だって、おかしいぜ」

「え?」

「昔っから、お前の男嫌いは筋金入りだ。なのに何で、俺は平気なんだ。妖だからか?」

「・・・・・・そう・・・・・・だと、前は言ったけど」
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