TABOO†十年ロマンス~秘密の恋
私は高校の門に、背中を預けた。
辺りはもう薄暗い。
私は手持ち無沙汰に、まだ左手に馴染まない薬指のリングを触る。
『時間は六時。
俺はどこで何をしていても必ず行くから。
アヤも絶対来いよ!』
十年前の今日、洸(コウ)と私は約束し…
そして別れた。
大学はそれぞれ地元を離れた遠方に決まっていて、お互いをよく知る私達には『遠距離恋愛』は無理だとわかっていた。
無理をして上手くいかなくなってから別れるより、私達は潔い別れを選んだ。
十年前の卒業式…
それ以来洸とは連絡を取っていない。
しばらくの間は友人を通して消息を聞くこともあったけれど、それもいつしか途絶えていた。