TABOO†十年ロマンス~秘密の恋
「もう…
忘れてるよね」
私は俯き、リングを撫でながらつぶやいた。
婚約したばかりの駿に嘘をついてまで、地元に戻ってきたけれど…
「アヤ?」
懐かしい声に、私はゆっくり顔を上げた。
街灯に浮かび上がるのは、スーツ姿で息を弾ませる男の人。
「コウ?」
「ゴメン、遅れた」
駆け寄って来たのは、大人になった洸…
「よかった。
来てくれたんだな」
洸はあの頃より少し肩幅が広くなって、髪が綺麗にセットされている。
私は胸がいっぱいになり、黙ったまま胸の前で両手を握り合わせた。
洸が私の左手のリングを目に留め、そっと視線を外す。