【コラボ】ブラック・メール
まりあは残念そうに言う。
「例えば、どんな」
「当日に弔電が贈られてきたり、喪服や、ウエディングドレスをほうふつとさせる白いドレスを着てきたり……
式場の前に人糞をばら撒いたり」
えげつなッ!!
セッテは一瞬、言葉を失った。
「しかし、これは穏やかじゃないな」
隣に座っていた岡崎が、ボソリと言った。
まりあがその言葉にうなずく。
「そうです。
こういった類の手紙もあることはありますが、こんなふうに殺人を予告されることは、少ないんです」
「どうしてですか?ありそうやけどなぁ」
「こういうことをする方は、新郎新婦の顔をつぶし、自分の存在を彼らに知らしめるのが目的なんです。
そのためには、当日式が行われなければならない。
式が中止になってしまっては、彼等に社会的制裁を加える舞台が、なくなってしまう。
ここまで過激な要求をして、式が本当に中止になったら、困るのは犯人なんです。
だからあたしは、この脅迫状を送った人物は、結婚式がそうそう簡単にキャンセルできないものと知っていて、これを出したのだと思います。
つまり、本気で式を中止にしたいか、本気で新郎新婦の命を狙っているか、だと思います」