【コラボ】ブラック・メール
「マネージャー、予定していた派遣社員の面接、お願いします」
「はい、入っていただいて」
扉の外から聞こえた社員の声が、まりあにとっては天の助けに思えた。
やっと、来てくれた。
遅く思えたけれど、予定時間ピッタリだ。
「失礼します」
やがて現れたのは、背の高い、若い男だった。
言葉のイントネーションに独特のものがあるのが、すぐにわかる。
「はじめまして。
(株)gattoから派遣されました、セッテいいます」
そういうと、彼は一礼した。
まりあは慌てて、自分の名刺を取り出す。
「はじめまして、安城です」
「ああ、ありがとうございます。
すいません、俺、名刺持ってないんですわ」
「ま、『猫』だものね」
マネージャーがうなずきながら言った。