【コラボ】ブラック・メール
仕事の詳しい内容は、現場で説明する──そういうことだった。
そういうことも少なくなかったし、セッテは大抵の仕事はやりこなす自信がある。
しかし、もう一人とは一体誰のことだろう?
自分以外に仕事を頼まれた『猫』がいるのだろうか。
いや、猫どうしの仕事場のブッキングは、よほどの事情がないかぎり、ないはずだが……。
思案を巡らせていると、まりあにイスをすすめられた。
そこに腰掛けようと思った瞬間、閉まっていたドアが、ノックされた。
もう一人の客人だろう。
セッテは直感でそう思い、姿勢を正した。
まりあがパタパタと駆けていき、ドアを開ける。
その顔は、どこかにやけているようにも見えた。
「遅くなりました」
彼女の影から出てきたのは、自分と同い年くらいの若い男だった。
くせのない真っ黒な髪に、白い肌。
その顔は、まるで俳優のように整っていた。