【コラボ】ブラック・メール
子供がだだをこねるような様子に、瑛もセッテもノーヴェも、不快を通り越して呆れ果てた。
「なかったことにしたいって、あんたな……おかしいやんか。
そんな簡単に揺らいでしまう程度の思いなら、なんで結婚しようと思ったんや」
思わず敬語を忘れてしまったセッテに、織田は答える。
「洋子を逃したら、あとがないと思ったから」
「は?」
「こんな僕と結婚してくれるのは、洋子しかいないと思ったから。
こんな僕を誘ってくれて、好きだといわれて……勘違いしたんだ。
僕は、彼女を好きになったわけじゃない。
人並みに結婚したかっただけなんだ」
セッテは、瑛の調査の内容を思い出す。
織田には洋子以外、恋愛の経験がないようだった。
しかし、洋子のほうから織田に言い寄ったとは、意外だ。
人の趣味とはわからないものだ。