手紙から始まった恋 <<==短編==>>
 顔をあげると、居るはずのない早瀬が私の目の前にいた。



「ッ…どうして…?」



 なんで早瀬が居るの?

 早瀬、今日は用事って言ったよね?



「ソイツ、誰」


「木下君、だよ。クラスメートの」


「クラスメート?だったらなんで手繋いでんだよ」



 忘れてた。


 私今、手を繋いでもらっていたんだった…。




「クリスマスの日に彼女をほったらかしにしてた彼氏さんがいえることですかねぇ?」


 さっきまで私に話しかけていた木下君とは少し違って、早瀬に喧嘩をうっているような、そんな話し方だった。




「…。手、離せ」


「う「嫌です」


 私が『うん』と言おうとしているのを遮って、木下君が言った。




「はぁ?早くはな…」






「木下ー!」


 あぁ、救いの天使が現れた。


 木下君を呼んだのは、帰ったはずの綾ちゃんだった。
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