手紙から始まった恋 <<==短編==>>
 早瀬に「着物着て?」と言われたけれど、完全無視。


 だって、めんどくさいんだもん。




 私は、だだをこねる早瀬を置いて先に家を出た。


 早瀬は情けない声を出して私の後ろについてきた。


「ねぇ、お父さんが言ってた事って本当?」



 早瀬が私に聞いてきた。


 やっぱり聞こえてたんだよね…。



「言ってない!」



 私は意地っ張りで。


 本当の事を早瀬に言えなかった。



「ふーん?」



 早瀬は目を細めて私を見た。


 「本当に?」そう言われているような感じがして、私はまたかわいくないことを言ってしまった。



「わ、私が早瀬の事をかっこいいなんて言うわけないもん」



 そんなこと、思った事もないのに。
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