初めての……
「どこか、開いてないかなぁ」

仕舞われた暖簾、降りたシャッター。確かにここは田舎なのだけど。
人気ない通りをダラダラと歩く。

「あ、あった!」

智久が小料理屋を見つけた。

「智久、偉い!」

「まぁな」

よかった、座れる。と、足の疲労感にフラフラだった私は、店を見つけた彼を褒める。

「じゃあ、新年会ってことで」

「りょうかーい」

暖簾をくぐり、唯一の飲食店へ入る。

「ビール」
「ハイボール」
「ウーロンハイ」

皆、お酒は弱い。それらの注文に、店の女将さんが困ったように微笑みを浮かべた。

「ごめんなさいねぇ。うちは日本酒しか置いてないの」

「えぇ!?どうしよう?」

「口当たりのいいもの、お出ししましょうか」

女将さんの勧めに揃って頷いた。
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