ズルイのはあなた


「…来ると思った。入賞おめでとう」


そう笑う顔がどこか憎めない。





「…ありがとうございます。正規採用されたんですね」



私がいたときは臨時教師だったのに。




在学中、ほとんど人の来ないこの美術室にこもって黙々と絵をかいていた。

そんな私を先生はずっと見ていた。



たったそれだけ。



けれど当時の私たちには十分だった。



すると急に携帯の着信音が鳴った。



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