ズルイのはあなた
「彼?」
「そうみたいです」
そういえば迎えにいくっとか言ってたっけ…
そう考えていると先生は私からひょうひょうと携帯をとって机に置いた。
「ズルイね…、君は」
やっと隠さなくていいようになったのに。
「ズルイのは先生のほうですよ」
なにも言ってくれないから。
突き放すことも抱き寄せることもしてくれないのだから。
「ズルイ、ズルイ」と言いながらも頬は緩んでいき、着信音が響く中お互いに手を重ねた。
一緒にいるだけなんて・・・
今の私には物足りないもの。
END.