貴方のいる母校【TABOO】
「なぁ、お前も戻って来たら?」
「なんでよ」
「もっと楽しくなるから」
白い空気を吐き出しながら、彼がニヤリと笑ってみせる。
「……なにそれ。ワケわかんない」
「―――好きなんだよ、今でもさ」
彼の目が私を捉える。
私の目が彼を一瞬捉えてから、さまよった。
「彼氏いるって、言ったよね?」
「だからなんだよ」
「なんだよって……」
戸惑う私の両頬を冷たい手が包み込んで、同じく冷たくなった唇が触れた。
「帰ってこい」
しんとした空気に凛とした声が響いて、身体の奥がキュッと締め付けられる。
その短い言葉はどこまでも甘く、深く心に染み込んだ。