叶う恋はこの世になくて...
中学3年生1学期
中学三年生。
今日から、私は受験生になった。
吉川藍未(よしかわあいみ)
毎年感じるが、一学年上がるときはいつにもまして新しい教室へと入るのがドキドキする。
友達はできるだろうか...
クラスで上手くやっていけるだろうか...
期待と不安の狭間をふらふらしている。
「おはよう。」
後ろから、落ち着いた大人びいた声が聞こえた。
荒川 舞加(あらかわまいか)
幼稚園からずっと私の友達だ。
舞加とは三年のクラスは別れてしまった。
「おはよう!
今年も同じクラスになれなかったね...」
私たちは今まで同じクラスになったことが幼稚園のときの一回だけだった。
家が近いので、仲は良いがクラス運が全くなかった。
舞加は才色兼備、多芸多才の四字熟語がよく似合う。
一方私は平々凡々。
地味でもなく派手でもない。
勉強ができるわけでもなく、できないわけでもない。
普通という言葉がよく似合う。
真逆と言っていい私と舞加はこれまでも幾度となくぶつかり合いはあったが、それでもそれを乗り越え今でも一緒にいる。
「どうしてこんなにクラス運ないのー!!」
「しょうがないよ。一緒に行ったり、帰ったりしてるからいいじゃない。」
「ま、そっか。」
そんな話をしながら、新しいクラスのある階に向かう。