叶う恋はこの世になくて...

香菜と別れたあと私は自分の席に着き、どうやって渡瀬と仲良くなるか考えてた。
はっきり言って私も人見知りしないかと言われたらウソになる。
どうしようかと悩んでいると、一つだけ案が浮かんだ。これは一か八かの賭けでもあるが。

「ねぇ。」

渡瀬がこっちを向いた。
次の言葉を発した瞬間、渡瀬の顔色は変わった。

「渡瀬ってさ、好きな人いるよね?」

初めて会話するやつにいきなり好きな人のことを聞かれたら誰だって嫌だろう。
私も嫌だ。

「え、は?
好きな人とか、え?」

予想以上に驚く渡瀬を見てからかいたくなってしまった。

「そのひとってさもしかして...」

「あー、待って!言わないで。
いや、あー!」

からかうと面白いな。

「わたしの知ってる人だよね?」

見る見る顔を真っ赤にさせていく渡瀬。
私は思わず吹き出してしまった。

「お前なー。もう、ほんとに最悪。
ってか俺そんな分かりやすい?」

「うん。だって舞加でしょ?」

いきなり大声を出されて私の言葉はかき消された。
知られたくないのか、分かりやすすぎるのに。

「お前誰にもいうなよ。
あー、まぢ恥ずい。」

不覚にも照れて顔を真っ赤にする渡瀬がカワイイも思ってしまった。
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