叶う恋はこの世になくて...

「お前さ、いや藍未さ。」

いきなり名前を呼び捨てにされてびっくりして渡瀬を見る。
しかし構わず渡瀬は話し続ける。

「俺が舞加のこと...あーっと舞加に言うなよ!」

好きとしっかり言えない渡瀬にまたもや笑えてきて、声を出して笑ってしまった!

「渡瀬さ、ピュアだよね。好きって言えないんだもん!」

うるせーっと私の頭を叩いて机に頭を伏せてしまった。
まだ笑う私の机を軽く足で蹴って、耳を真っ赤にしていた。

とりあえず、渡瀬と仲良くなることには成功したみたい。

そのあと香菜に仲良くなったことを報告した。
言わなかったのは、どうやって仲良くなったのかと名前を呼ばれたとき少しときめいてしまったことだけだった。
このときめきは気のせいだ。と、自分に言い聞かせた。


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