ラスト・ラブ -制服のときを過ぎて-
notice 01 惑い




最後に交わした言葉は、なんだっただろう。



彼の笑顔は、かろうじて思いだせる。

穏やかでいて、だけど、何か困っているような顔だった。

その後に訪れる未来など、あの時の私たちは何も知らなかったはずなのに。

彼は何かを感じとっていたのかもしれない。



あの時、私は笑っていたんだろうか。

泣いたんだろうか。


思い返すことさえ、もう難しい。



記憶の片隅に引っかかりを覚えながらも、慌ただしく過ぎゆく日々は、思いだす余地さえ与えず。

そのことにまた必要すら、感じなくなっていった。




だけども。

それはいつも私のそばにあって。

そのドアが開かれるのを、今か今かと待っていたと。




そのことに気がついた時には、もう何もかもが手遅れだった。





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