最後にあなたと乾杯を
それからくすくす、と妻は声を立てて笑った。
「そんなに驚くことないでしょう」
「いやいや。えっなに。僕の聞き間違いだよな。さっきお前なんて言った?」
「ふうん、って言ったじゃない。聞こえてたんでしょ」
「いや言ったけど。てか聞いてなかったというか、聞いてたけど聞こえなかったというか聞いてなかったというか、いや聞いてたけどね」
ぶっ、と妻が吹き出す。
唾だかミルクティーだかちょっと僕のところに飛んだ。
「タケちゃん意味分かんない」と妻は言った。
意味が分からないのは妻の方だ。
妻はもう一回「あたしタケちゃん以外に好きな人ができたの」と信じられない言葉を僕に叩きつけて、それから何事もなかったかのように洗濯物を干しにベランダへ行ってしまった。
「そんなに驚くことないでしょう」
「いやいや。えっなに。僕の聞き間違いだよな。さっきお前なんて言った?」
「ふうん、って言ったじゃない。聞こえてたんでしょ」
「いや言ったけど。てか聞いてなかったというか、聞いてたけど聞こえなかったというか聞いてなかったというか、いや聞いてたけどね」
ぶっ、と妻が吹き出す。
唾だかミルクティーだかちょっと僕のところに飛んだ。
「タケちゃん意味分かんない」と妻は言った。
意味が分からないのは妻の方だ。
妻はもう一回「あたしタケちゃん以外に好きな人ができたの」と信じられない言葉を僕に叩きつけて、それから何事もなかったかのように洗濯物を干しにベランダへ行ってしまった。