本棚に、秘密



その人は必ず、図書館が閉まるギリギリにやってくる。

理由は分からない。

仕事の都合かもしれないし、
もしかすると気分なのかもしれない。


図書館に来ると、私に本の在処を尋ねる。

内容はその日によりけりだけれど、決まって奥まった本棚に位置している。

"ご案内します"という私の言葉は、彼に対する返事だ。




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