あなたがいたから
自己紹介が終わったのは、あれから30分後のあと2・3分でチャイムが鳴るというギリギリの時間で終わった。
チャイムが鳴ると木下は、
「おっ!もうチャイムが鳴ったか。意外と早く終わったな。
…まあ、それはいいとして明日は離任式だから、授業はない。
明後日は土曜日で、明々後日は日曜日だ。
本格的に授業が始まるのは来週だ。あと少しで今週は終わるけどな
…じゃあ、今日はここまでだ。」
これからの日程を言った後、教壇に置いてある自分の荷物を片付けだした。
木下の行動を見て、いかにも真面目そうな男の子が木下に、
「先生。号令はしないんですか?」
木下はその子を一瞬見たあとに目を出席簿に向けた。
木下は出席簿を見ながら、
「お前は確か五十部 優(イソベ マサル)だったな。
じゃあ、お前は今日から学級委員な。
五十部、号令。」
木下はまた理不尽なことを言い出した。
木下の考えに五十部は素直に、
「そんな理不尽なっ。」
「五十部。早くしないて、お前の成績を…」
木下はそこまで言うとニヤリと笑いながら、五十部を見つめる。
五十部は次に言いたいことに気付き、大きな声で、
「きりーつ。礼。さようなら。」
「おっ!五十部は素直だな。」
木下はクックックと笑いながら、教室を出ていった。