あなたがいたから
睨まれた未来はめげずに否定する。


「だから、お前は何を言ってるんだ?
あたしは人と関わりたいとは思わない。」


佐久間は未来の言葉を無視するように言う。



「わかった!あいつだ。
志水が学校から駅まで一緒だったヤツ。
あいつのおかげで今のお前がいるってわけか。
でもな…」


佐久間はそこまで言うと未来に近づいて行き、未来の耳元まで近づくとどす黒い、冷たい口調で言い放す。



「そんなのは今だけだ。そのうち、そいつもお前を見捨てるぜ。
お前は独りだ。独りっきりだ。」


「いわれなくてもわかってる。」


「へぇー。わかってるんだ!
だったら、なぜ泣くよ。」



「泣いてなんか…」



未来は『いない。』と言おうとしたが涙を流していた。


泣いてるにも関わらず未来は怒鳴っていた。



「お前に言われなくてもわかってる。」



急に未来が怒鳴ったから佐久間は、


「おお。コワッ!
でもな、お前は独りだ。
忘れるなよな。」



クククと笑いながら、未来の前から消えていった。



佐久間がいなくなったあと、未来は笑っていた。


狂ったかのように笑い出していた。


未来は笑いながらフラフラした足取りで家に向かった。



その時、急に雨が降り出した。


それにも関わらず、未来は笑い続けたのだった。


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