あなたがいたから
未来が佐久間 強一に会って、半日が経っていた。


「未来ちゃん。待ってよぉ。」



智佳は息を切らせながら未来を追いかけていた。


未来は智佳のことを無視するかのように早足で歩き続けた。



「今日の未来ちゃん。なんだか変だよ。」


智佳はやっとの思いで未来に追い付き、そんなことを言った。



未来は立ち止まっていた。


「未来ちゃん?」


急に立ち止まった未来に智佳は心配そうな顔で未来の顔を覗き込む。


未来は一歩二歩と後ろに下がっていき驚いた顔のまま、


「え?なんか言った?」


智佳に聞き返していた。


智佳は溜め息をつきながら、


「だーかーらー。今日の未来ちゃん。いつもと違うって言ったの。」



「そんなことないよ。」


未来はそう言うと智佳を置いて歩いていた。



「ちょっ!未来ちゃん!?」


智佳は未来を呼び止めようとしたが、未来の姿はなかった。


「もう!未来ちゃんったら。」



智佳はぶつぶつ言いながら、未来のあとを追った。




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