あなたがいたから
くちごもる智佳を見て、未来は溜め息をつく。



「はぁ〜。もうさ、あたしに構うのやめてくれない?
あんたはあたしと仲良くしていい人間じゃない。
あんたはあたしみたいな人間と一緒に居てはダメ…なんだよ。」



最後の方は聞き取りにくいほど弱々しい優しい声だった。


未来の言葉を聞いて智佳は未来の顔を見た。
未来の顔にはわずかに涙が溜まっていた。


そんな未来を智佳は止めることが出来ず、未来は屋上から出ていってしまった。



未来が出ていった扉を見ながら智佳は呟いていたいた。


「『あたしに構わないで』…か。

そんなこと出来るわけないじゃん。あんなにも悲しい顔されちゃあ…」


そこでふいに風が吹いた。


その風は智佳の涙を慰めるために吹いたような風だった。



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