あなたがいたから

その日の夜。

未来の家に電話があった。


その電話は智佳からのものだった。



部屋でゆっくりとしていた未来は、急に部屋に入ってきた希望(ﾉｿﾞﾑ)を驚いた顔で見ていた。



そんな未来に希望は何事もなかったように話し掛ける。



「ほれ。電話。」


「誰から?」


未来は不機嫌そうな態度で答えた。


未来の態度に希望はやれやれという顔をする。


そして、未来の質問に答える。


「清水 智佳(ｼﾐｽﾞ ﾁｶ)って子から。」



智佳の名前を希望の口から聞いた未来は、ｷｯと希望を睨みつけ、


「今、出られないって言っといて。
あんたに話すことなんてないって。」


未来の目を見ながら希望は『おぉ!こわっ。』と小さな声で呟いた。


その声に未来は念を押すように、


「ﾉｿﾞﾑﾆｨ。そいつに余計なことを吹き込むなよ?」


希望を再び睨みつけながら言った。


未来の言葉に希望はﾆﾔﾘと笑いながら未来の部屋から出ていった。



希望が出ていった扉を見ながら未来は、


「ﾉｿﾞﾑﾆｨ。あの顔は絶対に言うな。」



そう呟いた後、扉目掛けて枕を投げ付けた。