ひな*恋
買い出しに、張り切っちゃいました!
「雛、今日も遊びに行くの?」
「あ…っ、う うん!」
翌日の午前中。
朝起きてお母さんと一緒にトーストを食べ、洗濯物を干し終わってからの事だ。
仕事が休みの日であっても、だいたいいつも部屋の中でダラダラ過ごしている私なんだけど、今日は違う。
11時の約束にはまだ時間の早い9時過ぎ。
今日もまた、どれも似たり寄ったりな服をあれでもないこれでもないと選りすぐり。
結局、何の洒落っ気もないプリントTシャツにジーンズというスタイルになったものの…。
どうしても待ち合わせ時間までの間がやけに緊張してしまい、そしてそれが目の不自由なお母さんにさえ何かいつもと様子が違うと感じ取ったのだろう。
変に勘ぐられたくなくて出掛ける直前まで言わないつもりだったのに、先に「今日も遊びに行くの?」って訊かれちゃったよぉ。
「ん、だから今日もお昼ご飯、いらないから…」
「はいはい、お母さんの事は気にしないでいいから」
「うん、ごめんね。
最近友だちと遊ぶの、楽しくって」
「そう…」
まさか仕事先のお客さんの家に遊びに行くなんて、言えるわけないからね。
まぁ、“友だちと遊ぶ”って言葉には、ウソはないもん。
…って。
私もいつの間にか慎吾くんを、友だち扱いしちゃってるなぁ。