ひな*恋





「あれ~?いいニオイが漂ってきた。
このニオイは…」



ずっとリビングのソファでテレビゲームをしていた慎吾くんが、私の作っている料理に反応したようだ。


お昼を過ぎた頃に来て始めた料理もリンゴサラダを作り終わった頃までは順調だったけど、自分の現実を知ってしまってからはモタモタしてしまって、もう15時半を過ぎている。



「へぇ、カレーかぁ。
カレーなんて久し振りかも」




…そうなのだ。

結局うまく肉じゃがを作る自信がないからと、焦って慎吾くんの家の冷蔵庫やら戸棚やらを漁っていたら(←コラ)カレーのルゥを見つける事ができた。


考えてみたら、カレーも肉じゃがも同じような材料だもんねっ

だもんで、ここは無難な普通のカレーを作ってみたというわけなのだ。



「あ はは…っ
何かちょっと予定が変わっちゃって、カレーとリンゴサラダになっちゃいました…っ」



「あ、出来たんだ、リンゴサラダ」



「はい。
先に作って冷蔵庫に入れてるから、もう冷えてるかな」



私は冷蔵庫の方へと駆けって中からリンゴサラダの入ったお皿を取り出すと、それを慎吾くんに見せてあげた。


私の十八番、これだけは自信作だもんね。



「やったね!ちょっとつまみ食い。
…………………んっ、絶品!」



「わぁ、よかったぁ」



あんなにたくさん食材を買わせといて、結局カレーとサラダだけなんてヒドい話だけど。

でもそう言って喜んでくれた事で、スゴく安心できた。



ホント、よかったよぉ。



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