ひな*恋






「あぁ、鶏肉って醤油とお酒に浸けちゃうんだ」



「そうよ。
こうしてしばらく時間置いとかないと、中まで味がつかないのよ」



いつも何気なく店で揚げているから揚げも、家で作ろうと思ったらこんな下拵えをしなきゃだったんだ。


だけどそんな難しいって事もなく、普段から調理の仕事をしてるだけあってコツを掴むのは容易だったの。





「うん、いい感じに揚がった。
ねっ、お母さん!」



「はいはい、上手上手。
さぁ、お皿に盛って晩ご飯にしましょう」




お母さんと一緒に台所に並んでご飯を作るなんて、もしかしたら初めてかも。


お母さんも何だかいつもより機嫌いいし、娘とご飯作るのって嬉しいのかもしれないな。




茶碗にご飯をついでお味噌汁と一緒にから揚げもテーブルに並べると、私はお母さんといただきますをして箸を手に取った。



慎吾くんも、今頃私の作ったカレーを食べてるかなぁ…

そう思った時だ。



♪♪ ♪♪ ♪♪~



バイブレーションと共に鳴りだしたケータイが、ポケットからメールを知らせた。




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