ひな*恋
誕生日だからって、この年だと何かしたりなんて事はない。


お母さんはケーキでも用意しようかって言ってくれたけど、朝から甘いものなんて欲しくないし、今日も夜までは普通に仕事もあるからと遠慮したの。


それに化粧なんて普段しないから必要ないなんて思いつつも、してみたらしてみたで案外気持ちが引き締まってしまい、気分的にまた1つオトナに近付いた錯覚に陥ったみたいだ。


何かスゴいな。
お化粧パワーだ。



「えっとね、今日の献立はから揚げにしようと思うんだ。
それから久し振りに――…」


「ねぇ、ひな。
今日って誕生日なんだよね~」



「えっ!!?」



年に関する話はした事ないわけだから、当然誕生日も教えたりはしていない。


なのに…

え、何で慎吾くん私の誕生日が今日って知ってるのーっ!?



「…だからさ、プレゼントちょーだい♪」




ニコニコ満面の笑みを見せた慎吾くんは、両手のひらを私に見せるように広げて言った。



…ん?
ちょーだいって事は…




「慎吾くん、今日が誕生日なの!?」



「そーだよ。
俺もとうとう16になっちゃった」



いやいや。
とうとう16って、まだまだ16の間違いでしょう!



…て言うか………16!?




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