ひな*恋
「わぁ!ケーキじゃんよ!
美味そう!!」



甘いものが好きだって言ってただけあって、その真っ白なクリームに真っ赤なイチゴで彩られたショートケーキには、慎吾くんも目をキラキラさせて喜んでくれた。



「あれ、ローソク2本入ってるけど何で?」



「えっ、あー…
何かオマケでもらっちゃった!
折角だから、1本ずつケーキにさして火を灯そうよ」



…なんてね。

ホントは慎吾くんの分と、私の分のバースデーケーキなんだよっ


だけど、私の誕生日の事はヒミツかなぁ。




「サンキュー、ひな!
俺、ジュース用意するねっ」



「ありがとう」





1日遅れになっちゃったけど、私も久し振りに食べるバースデーケーキ。



テーブルに向かい合ってグラスに炭酸ジュースを注ぐと、私はケーキにさしたロウソクの火を慎吾くんに吹いてもらって消した。



「16歳、おめでとう。
これくらいの事しかできないけど」



「サンキュー、ひなぁ。
大丈夫だよ、プレゼントはひなをもらうもんね」



「…う うんっ」



そう言う私も、プレゼントは慎吾くんだったりしてね。



13歳も年下の慎吾くん。


まだ誰にも、堂々と慎吾くんを彼氏だなんて言ってないんだけどね。


でも今が幸せだからいいかなって、そう思ってるんだ。









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