ひな*恋
「妹尾さん。
実は今日、折角自分の時間が取れたので、子どもの為に何か手料理を食べさせてやろうと思いましてね。
それで、何かいいレシピはないか探しに来たんですよ」



そう言ってイチゴバラさんは手に持っていた雑誌を閉じて、その表紙を見せた。

それは主婦の人たちが読むような料理雑誌で、安さを売りにしたレシピやら、手間をかけないレシピなど、様々な料理が紹介されたものだった。



「手作りですか!
それは子どもさんも、きっと喜ばれますよねっ」



「えぇ。
だから今子どもが学校に行ってるうちに、買い出しとかも済ませようと思って」



「…え、学校…?」



今はまだ夏真っ盛りの8月だ。

学生さんなら普通は夏休みだから、学校なんてないハズなんだけど。

…あ、それとも部活関係とかかなぁ?




「夏休み中の登校日ですよ。
うちの高校は、学校行事の関係で今年は日曜日になってるようです」



「あぁ、登校日…。
て言うかそれよりも…子どもさん、高校生なんですか!」



以前までうちの店にお使いに来ていたらしいけれど、てっきりまだ料理は1人じゃできないような小学生か中学生くらいの女の子かなぁと何となくイメージしていた。



なのにイチゴバラさんって、実は高校生のお父さんなんだ!


え?
て事は、何歳…?




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