ひな*恋
残り僅かとなってきた陳列棚の惣菜たち。


そこからイチゴバラさんは焼きそばを1つ取ってカウンターに持ってきたので、私もそれに合わせてレジの前にと立った。



「あの後、どうでした?
手作り料理は、上手くいきましたか?」



焼きそばについたバーコードをリーダーに通しながら、私は気になっていた昨日の事をイチゴバラさんに訊いた。



「あぁ、やっぱり不器用な男の料理ですからね。
見た目は悪かったですが、まぁ腹に入れば同じってとこでしたよ」



「あはっ
でも息子さんも、きっと喜ばれたでしょ」



「んー。
でもやっぱり、サラダはここの店の方がいいみたいです」



支度を6時間前から始めると言ってただけあって、思ったような料理はできなかったのかなぁ?


だけど、いつも仕事で忙しいお父さんが手作りした料理だもの、息子さんは喜んだと思うよ。




「…そうだ、昨日訊こうと思ったのに忘れてたんですけどね」



「はい、何でしょう」



焼きそばのお代を頂くと、私はレジを打ってお釣りを出した。

それをキャッシュトレーに入れると、レシートも一緒に添えた。




「ここのおかず屋さんでは、リンゴサラダって売ってませんよねぇ。
以前何回か食べたと思うのですが、あの味が忘れられなくて」



「…………………え?」




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