ひな*恋
別に、押し付けるだとか売り上げがどうとか言う話ではないんだけど。


まさか、私が取り置きしてた分も買いたいだなんて言うとは思わなかったな。



「…ありがとうございます。
なのに今日は、他にもいっぱい買って下さるんですね」



買わせて下さいなんて言われれば、私もダメだなんて言うわけにいかないもんね。


私は2つのサラダのバーコードを通すと、他にも持ってきている惣菜のバーコードを1つずつ通した。




「えぇ。うちの子も気まぐれみたいでして、昨日は帰ってみたら何も用意してなくて困ったものでしたよ」



「あらら。
そうなんですか」



確かイチゴバラさんには、高校生の男の子がいるんだったっけ。


お父さんが忙しくて買いに来れない日は代わりにお使いに来て、最近では自ら進んで用意しているらしいじゃない?


…まったくっ

すっかり赤の他人におんぶに抱っこな慎吾くんとは、エラい違いだわ。




「今日も帰ったら何もないじゃいけないと思って、それでなんです。
それに、ここのおかずはどれも好きですからね」



「そうなんですかぁ。
でも、たまには楽したいですよねっ
ありがとうございます!」




お財布置いて帰っちゃうような無茶なんかする暇あるんなら、慎吾くんもイチゴバラさんとこの息子さんを見習えばいいのにっ


なんて、言っても仕方ないんだけどね。






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