ひな*恋
「はい、20円のお返しですね。
お待たせしました」



キャッシュトレーにお釣りを置くと、私はレジ袋に入れた惣菜たちをイチゴバラさんに手渡した。



「ありがとう」



「いえっ、こちらこそありがとうございます!」



結局取り置きしたサラダの分は余分に買わせちゃったわけだから申し訳なかったけど、でも売り切れる前にイチゴバラさんの手に渡って良かったよぉ。


明日も、今日と同じくらい作っておいてもいいかもしれないね。

勝手に取り置きして待ってると、却って迷惑になっちゃいけないし。




「あ…あの、妹尾さん」



「はい?」



「今日も…あの場所で待っててもいいですか?」



「あ…は はいっ
でも――…」



クルリ振り返って時計を確認すると、まだ20時半にもなっていない。


まず閉店が21時で、それから精算したり売上金を分けたりするので、実質私が仕事を終えるのは早くて21時15分くらいだ。

今からだと、軽く1時間近くあるわけなんだけど…?




「大丈夫です!
僕、待ってますから」



「でも…」



「今日は妹尾さんに話したい事があるんです。
時間潰してる間、僕もちょっと心の準備をしたいので…」



「…え?」



ドキンと、変な意識をしてしまった。


いや、まさか。
そんな……………ねぇ?




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