ひな*恋
「……………………」



「……………………」



お互いがお互いを見つめ合い、目が離せない。



私を優しくも真剣な顔で見つめるイチゴバラさんからは、誠実さがスゴく伝わるの。


彼なら、信用できる。



私も、もう29。

イチゴバラさんも、子どもさんがいるお父さん。


私が返す言葉1つで、それが単に好きだという感情だけでするお付き合いとは違う関係になるの。


適齢期はとっくに過ぎちゃっている。

こんな私に声をかけてくれるイチゴバラさんとの縁は、ありがたい話なのよ…!





「………あ、すみません。急にそんな事を言われても困りますよね。
あの、返事はいつでも構いませんので――…」


「…嬉しいです」



「……っ!」



何だろう。

自分の中で気持ちの整理ができちゃったせいか、さっきまでのドキドキ緊張感が和らいできた。



私、この人のお嫁さんになるかもしれない。


そう思うと、変な意識をしなくなって冷静になってきたの。




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