ひな*恋
「妹尾さん、あの…」



「私、こんなナリだから、普通の人よりもスゴく頼りなく見えちゃうかもしれませんが…」



同級生の子にイチゴバラさんの事を言われた『お父さんじゃないよねぇ』にはショックだったけど、でも多分それが現実だと思う。


私とイチゴバラさんが並んでも、夫婦に見える日はずっと先かもしれないな。


でも、そんな私でも受け入れてくれるって言うなら…いいのっ。




「これから先、私の事を守ってくれますか?」



童顔な私を、大人扱いしてくれる。


ずっと恋愛に縁がなくて、このまま結婚も出来ないのかもって思ってた私に、ようやく巡ってきた大人のお付き合い。



彼なら私を、幸せにしてくれるんだ――――…




「よかった!」



「ひゃあっ」



私は突然イチゴバラさんに抱きしめられ、その懐に顔が埋まった。


その時、仕事あがりだから感じた汗のニオイだけど、別に嫌なニオイじゃい。

むしろどこかで…?




「あぁ、すみませんっ
つい、嬉しくてっ」



「あ…いえっ
私は大丈夫ですからっ」



慌てて私の肩を掴んで引き離したイチゴバラさんだけど、顔を真っ赤にしながら、でも口元が緩んでいた。


そんなに私とのお付き合いが決まって、嬉しいのかなぁ。





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