ひな*恋
「…ぷっ」



「……………?」



不安げに見上げる私に、なぜか突然慎吾くんはクスクスと肩を震わせて笑い出した。


え 何で笑うの?




「わかったよ。
じゃあ俺、ひなだけにする」



「え?
あの、何の…」



言ってる意味がわからないよっ

私だけにするって、何なの?



「ひなをそんなに不安にさせちゃうなら、俺もうひなだけにするよ。
だから、それならいいだろ?」



「え?え?
それならいいだろって…」



「俺、ひながいいもん。
ずっと、ひながいいから」



「――――――っ!」





その瞬間、私は慎吾くんの言葉にキュンと胸が締め付けられた。



そしてものスゴい至近距離で見つめられる眼差しは、私の全身を熱く震わせたの。




初めて会った時から、冷やかされてばっかりで。

なのにニクいくらい甘え上手で、何やかんや言って上手く気持ちよく乗せられちゃって。




「ひな、俺ひなが一番好きだよ」



…ダメ。

ダメ…なんだけどっ



ずっと私にドキドキを与えてくれて、やり残したままの青春をたくさん思い起こさせてくれた。




でももうそんなドキドキは味わっちゃあいけないって、頭ではわかっているんだけど…っ



本気で恋した彼に嬉しい言葉を言われ、その手で優しく触れられて。

私は…




「ぁ………っ」




その気持ちのままに、慎吾くんの行為を拒まず受け入れてしまったの――――…。









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