ひな*恋
「そうだ。連絡先、交換しませんか?
そうすれば、帰ってからもゆっくり話せる時間が取れるだろうし」



「あ…はい、そうですね」



ピタリ 足を止めた私たちは、イチゴバラさんの提案にケータイを取り出した。


家は近いご近所さんではあるんだけど、今はまだお互いの家は知らない方がいいかもしれないしね。




「って、あれ…?」



既にケータイを取り出して準備しているイチゴバラさんに対して、私はバッグの中を探しているのに見当たらない。



「おかしいなっ
ずっとここに入れてたのに…っ」



「どうしました?」



普段ケータイは、外を出歩く時に使うバッグに入れてる事が多い。

今日も慎吾くんの家にお財布を返しに行った時もバッグに入れてたし、その時までは間違いなくあったハズだから…



………まさか。




――『えーっ
だってそうでもしなきゃ、ひなが来てくれないじゃん』




まさかまさか。

ようやくお財布を返したかと思ったら、今度は私のケータイを取られちゃってる!?



慎吾くん、私がもう来ないって言ったから、それで…っ



< 259 / 322 >

この作品をシェア

pagetop