ひな*恋
私は、イチゴバラさんの番号とメアドが書かれた紙に目を通した。


するとそこには、つい昨日慎吾くんの保険証を見ながら頭をひねった漢字が、一緒に書き綴られていて、グッと唇を噛んだの。




盆子原 慎二




「…イチゴバラって、こういう字を書くんですね」



「あぁ、一見読めないですよね。
よくボンコバラだとかボンシハラだとか、間違えられちゃいますよ」



「あは…」




私はどう間違っても変えられそうにない事実に目を閉じながら、その紙をバッグの中に大事にしまった。



もう慎吾くんとの事はケジメつけようとしたのに、明日にはまたケータイを取り戻しに行かなきゃならないんだ。



また何やかんや言って甘えられそうな予感がするけど、でももうハッキリ言おう。



私の事は、好きになっちゃダメ。


私は、キミの母親になろうとしてるのよ。



…って。






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