ひな*恋
あの時に最後に見た慎吾くんの顔が、夢にも出たの。
まさか私の口から結婚かんて言葉が出るとは思わなかったんだろうね。
驚いたような、裏切られたような、どうしたらいいかわからないような。
そんな顔して私を見たの。
「ひな」って呼んでくれるの、心地よかったよ。
でも今度からは、「お母さん」って呼ばれるのかな。
でもそんなの、私だって嫌だよ。
私をお母さんなんて、見てほしくない。
――『ひなはひなに、変わりないじゃん』
そう言ってくれてスゴく嬉しかったのに、もう私は『ひな』じゃないんだ――――…!
盆子原さんとのランチは、商店街の中にある軽食屋さんでする事になった。
それは車を持たない私が行きやすいように、家から近い所を選んでくれた盆子原さんの配慮。
午前11時。
待ち合わせの現地に着くと、盆子原さんは1人先に来ていた。
「僕は用事があって先に家を出たので、子どもは後から来ます。
先に中に入りましょうか」
「あ…はい」
お互い特に気張った服ではなく、前に一緒にお買い物をした時のようなラフな私服。
父娘に見られないように下手な化粧だけは頑張ったけど、実際は殆ど効果ないかもしれないなぁ。
ちょっぴりコジャレた軽食屋さんのドアを開けると、私と盆子原さんは店員さんの案内で、窓際のテーブルに着いた。
まさか私の口から結婚かんて言葉が出るとは思わなかったんだろうね。
驚いたような、裏切られたような、どうしたらいいかわからないような。
そんな顔して私を見たの。
「ひな」って呼んでくれるの、心地よかったよ。
でも今度からは、「お母さん」って呼ばれるのかな。
でもそんなの、私だって嫌だよ。
私をお母さんなんて、見てほしくない。
――『ひなはひなに、変わりないじゃん』
そう言ってくれてスゴく嬉しかったのに、もう私は『ひな』じゃないんだ――――…!
盆子原さんとのランチは、商店街の中にある軽食屋さんでする事になった。
それは車を持たない私が行きやすいように、家から近い所を選んでくれた盆子原さんの配慮。
午前11時。
待ち合わせの現地に着くと、盆子原さんは1人先に来ていた。
「僕は用事があって先に家を出たので、子どもは後から来ます。
先に中に入りましょうか」
「あ…はい」
お互い特に気張った服ではなく、前に一緒にお買い物をした時のようなラフな私服。
父娘に見られないように下手な化粧だけは頑張ったけど、実際は殆ど効果ないかもしれないなぁ。
ちょっぴりコジャレた軽食屋さんのドアを開けると、私と盆子原さんは店員さんの案内で、窓際のテーブルに着いた。