ひな*恋
「オイ!出入り口に突っ立ってるな!」
「ひゃっ」
その時、お店から出ようとした中年男が私の身体を押してきた。
「邪魔だろうが!
このガキがっ」
「…っ」
背中を押された弾みでお店の軒下から出されてしまった私に、雨が容赦なく叩きつける。
その中年男は傘立てのビニール傘を抜くと私を睨みつけながら開き、「チッ」と舌打ちしながら去って行った。
…確かに、狭い自動ドアの前に立ってた私も悪いから文句も言えないんだけど。
でもだからって、雨の当たる所まで人の背中を押すなんてヒドいじゃない!
それに…
――『邪魔だろうが!
このガキがっ』
一番傷ついたのが、その言葉。
妹尾 雛子(セノオ ヒナコ)
今月末でいよいよ29才。
名前の通り、いつまでも大人になれずヒナのまま。
そう。私はこの低い身長と童顔が災いして、未だに未成年扱いを受けるいわゆるアラサー独身女なのだ!
「ひゃっ」
その時、お店から出ようとした中年男が私の身体を押してきた。
「邪魔だろうが!
このガキがっ」
「…っ」
背中を押された弾みでお店の軒下から出されてしまった私に、雨が容赦なく叩きつける。
その中年男は傘立てのビニール傘を抜くと私を睨みつけながら開き、「チッ」と舌打ちしながら去って行った。
…確かに、狭い自動ドアの前に立ってた私も悪いから文句も言えないんだけど。
でもだからって、雨の当たる所まで人の背中を押すなんてヒドいじゃない!
それに…
――『邪魔だろうが!
このガキがっ』
一番傷ついたのが、その言葉。
妹尾 雛子(セノオ ヒナコ)
今月末でいよいよ29才。
名前の通り、いつまでも大人になれずヒナのまま。
そう。私はこの低い身長と童顔が災いして、未だに未成年扱いを受けるいわゆるアラサー独身女なのだ!