ひな*恋
「キミは…!」



「ほらほら、早く仕事仕事。
いくらですかー?」



どうやらさっきのお客さんとのやり取りを見ていたようで、ニマニマ笑みを浮かべながらわざとそんな事を言ってきた彼。


ちょっ!
からかってる!?



「お お会計失礼しますっ」



とは言え、一応お客さんであるコイツに失礼な真似はできないので、私はいつも通り手際よく、持ってきた惣菜のバーコードをリーダーに通した。



「合計4点、1290円になりますっ」



「ほーい」



ズボンの尻ポケットから取り出した財布を開け、彼は2000円を私に手渡した。



だけどコイツ、私が店員だと思って余計にナメてるんだわ!

でなきゃ、普通こんな馴れ馴れしい態度とったりしないわよっ



「はい、2000円お預かりしま…」


「あ、ちょっと待って。
ね、今日はあのサラダはもうないの?
卵とかハムとかきゅうりが入った奴」



卵にハムやきゅうりの入ったサラダと言えば、それは私の十八番のサラダしかない。


人気のおかずだから多めに作ってはいるんだけど、閉店前には売り切れてしまう事だって当然ある。


一応陳列棚の方をサッと見てみたけれど、確かにあのサラダはもう売り切れてしまっていたようだ。





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