ひな*恋
「だからさ、明日一緒に遊ぼーよ。
ご飯とか、ダメ?」



「…………………っ」




私の顔を覗き込むように下から見上げた彼は、ニマニマと口元を緩めて笑みを見せる。


だけどそれに対して私はドキドキ胸が鳴り響いて、少しも笑えなかった。



この間のお客さんといい、誘われたって事はこれはナンパ!?


あの時はナンパなんて初めてだったから相当ビックリしたし、まさかあんなおっさん系と一緒に遊びに行くなんてありえないと思っていたので、やんわりと断った。

第一、一緒にカラオケなんて言っておきながら、その後何かされたらと思うと…ゾゾゾ~っ




「この近くって、ファミレスもファーストフードもあるよね。
いいよ、ひなの好きなものなら、何だって奢るから遠慮しなくても」



まさかお客さんと遊びにだなんて…て思ってたけど、あの時はそうじゃなくて単にあのお客さんとが嫌だっただけだ。



「ね、行こーよ。
ひ な ちゃん♪」



だったら今は……私に断る理由なんて、別にないや。



「……………うん…」



男の子と一緒にランチなんて、初めてだもん。

もちろん興味だってあるから…。




「ヤッタね!
んじゃ決まりっ」





生まれて28年と11ヵ月。


私は、人生初のデートの約束というものをしてしまったんだ…!






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