ひな*恋
夏のファーストフード店はエアコンがよくきいていて、汗ばんだ身体もサッと引くくらい涼しくて気持ちいい。
「…本当に2つも飲むんですね。
しかもジュースだってLサイズがあるのに」
陽の熱さの勢いで2つって言ったのかと思いきや、彼はこんなエアコンのきいた店内でさえも注文口に着いた途端、ハンバーガーのセットにバニラシェイクを2つもオーダーした。
「ここのシェイクちょー美味いんだって!
それよりひなは、何にするの?」
「えっ、あ、そっか」
つい呆気に取られて見ていたけれど、自分の注文の事なんてすっかり忘れていた。
というか、まさかランチにファーストフードだとは思わなくて何も考えてなかったのだ。
「えっと…」
メニュー表を見ながら、自分が食べるものを考える。
「んー…」
そもそもファーストフードなんて高校の時に友だちと行ったぐらいで、最近は全然利用してないな。
高校を卒業してからは進路も分かれたし、メールはしても友だちと会って遊ぶって事もないもんね。
それに私の友だちはみんな私と違って、自分の家庭を……