ひな*恋
「どう?
シェイクも絶品だろ?」



エアコンのよくきいた店内では、太陽で熱くなった身体は十分クールダウンできるハズなんだけど。

初めてのシチュエーションにすっかり熱く舞い上がっていた今の私には、冷たいバニラシェイクが気持ちよく喉を通った。


それはもう、冷たくて、甘くて…。



そしてこれは彼の癖なのか、噛んで凹んだストローが私の舌に触りドキンとした。



「ん…
美味しい…です…っ」



言ってて、まるで彼の味を美味しいと言ったみたいで、また自分で恥ずかしくなる。


頭の中でそんな事を思ってるなんて知れたら、また笑われちゃうよぉ。

むしろドン引きかも。



「………………」



だけど…10代のうちに出来なかった青春を今頃味わう事ができ、且つその分の反動もあって余計に私は、このシチュエーションを自然と楽しんでいた。



今時の高校生からすれば、こんなの当たり前なんだろうけどな。


でも男の子と一緒にランチをしたりする事が、こんなにもドキドキしちゃうものだなんてね。



はぁ…

どうして私はあの時に限って、そういう青春できなかったんだろうなぁ。





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