ひな*恋
背の低い私からすれば、隣に立つ彼は大きく見える。
実際ホントに高い方なのか普通なのかは、わからないんだけどさ。
「へぇ。いつも買ってるあのサラダ、ひなが作ってたんだ」
ジリジリと照りつける太陽の光も苦に思わないくらい、彼と並んで外を歩くのは何だか心地よかった。
「そうですよ。
あ、昨日のリンゴサラダどうでした?」
「あぁ、あれね!ちょー絶品だったよ!
何か普通にリンゴ食べるよりも、やけに美味いんだよっ。
リンゴとマヨネーズって意外と合うんだね~」
「わぁ、よかったぁ」
思ってた以上の反応に、私も何だか嬉しくなった。
リンゴサラダ、気に入ってくれたんだ!
「また夜に買いに行くけどさ、あれは試作品なんだっけ?
なら今日は、普通の奴しかないのかな」
「………じゃあ、ナイショだけど…」
お客さんを特別扱いなんてしちゃ、いけないんだけどね。
でもそんな風に言われたら、俄然応えたくなっちゃうじゃない!
今日も昨日と同じように、彼の分だけリンゴ入りを用意して取っておいてあげよう。
これは店員だからこそできる、特権だもんね。